腕時計の磁気抜きを自分でする方法と料金!磁気帯びの確認や防ぎ方も解説

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  • 自分で磁気抜きはできる?
  • 磁気が入っているか確認したい!

腕時計が磁気帯びすると、正確に時間を合わせても狂うといった症状が発生します。磁気帯びした状態を放置すれば、故障に繋がることもあるでしょう。

この記事を書いた人

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モリオ

  • 時計店で10年勤務
  • 毎日10本以上の腕時計に触れ、電池交換や修理に対応
  • セイコー・シチズン・カシオなど国産腕時計の知識が豊富
  • 初心者にもわかりやすく解説するのがモットー

この記事では、腕時計の磁気抜きを自分でする方法やかかる料金、磁気帯びの確認の仕方について解説します。記事を読めば、自分で手軽に磁気抜きができるようになります。

モリオ

腕時計を磁気帯びから防ぐ方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください!

目次

腕時計が磁気帯びすると起こる不具合

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腕時計が磁気帯びすると起こる不具合は以下のとおりです。

  • 【機械式腕時計】精度が不安定になる
  • 【アナログクオーツ】時間を合わせてもずれる
  • 【電波腕時計】電波受信させても時間が合わない
  • 【デジタルクオーツ】唯一磁気の影響を受けない

磁気帯びとは、内部の金属部品が磁気製品に近づくことで、磁石のような性質を持ってしまう現象のことです。部品がくっついたり反発したりすることで、不具合が起きます。

モリオ

時間合わせしても頻繁にずれるようなら、磁気帯びしている可能性が高いです。

【機械式腕時計】精度が不安定になる

機械式腕時計は、「テンプ」と呼ばれる部品が一定のリズムで動作することで精度が保たれています。しかし、テンプに取り付けられている「ヒゲゼンマイ」と呼ばれる部品が磁気帯びすることで、精度が不安定になります。

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引用:機械式時計のしくみ|SEIKO

いつもより急に遅れたり進んだりする場合、磁気帯びの可能性が高いです。元々、機械腕時計は誤差が出やすいため、磁気帯びすることでより時間が合わなくなります。

【アナログクオーツ】時間を合わせてもずれる

アナログクオーツの場合、磁気帯びすると正しい時間に合わせていてもずれることがあります。アナログクオーツは、「ステップモーター」と呼ばれる方式を使用しています。ステップモーター内の「ローター」が磁気の影響を受けると、時刻が狂うという仕組みです。

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引用:水晶式時計(クオーツ時計)|一般社団法人日本時計協会

気付いたら時間が違ったり、電池残量が十分あるのにずれていたりする場合、磁気の影響を受けているケースが多いです。

【電波腕時計】電波受信させても時間が合わない

磁気帯びによって、本来は正確なはずの電波腕時計でも時間が合わなくなることがあります。基準位置と呼ばれる設定がずれていると、いくら電波受信を行っても時刻が合いません

基準位置とは、時間や日付を表示する際の基準となる位置のことです。

基準位置がずれた場合、修理に出さなくても自分で取扱説明書を見ながら修正できます。しかし、慣れているプロでも30分程度時間がかかる作業のため、初心者の方にとっては難しいと感じるでしょう。

【デジタルクオーツ】基本的に磁気の影響を受けない

デジタルクオーツは、他の腕時計と違って基本的に磁気の影響を受けません。なぜなら、モーターや歯車といった磁気帯びする部品が使われていないためです。

方位計測機能があるデジタルクオーツについては注意が必要です。腕時計が磁気帯びすることで、正しい方位が計測できないこともあります。

腕時計の磁気帯びを自分で確認する方法

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腕時計の磁気帯びを自分で確認するには、方位磁石を使用します。方位磁石は磁気に反応する仕組みのため、どのくらい磁気帯びしているか確認できます。

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磁気帯びが気になる腕時計を方位磁石に近づけてみましょう。方位磁石の針が少し動く程度なら、ほとんど腕時計に影響はありません。しかし方位磁石の針が大きく動く場合、強く磁気帯びしています

試しに磁気帯びしていない腕時計を方位磁石に近づけてみます。磁気帯びした腕時計を方位磁石に近づけると、以下のように針がぐるぐると回ります。

この場合、強く磁気帯びしていることがわかります。

磁気帯びを確認する際は、ケースだけでなくバンドもチェックします。特に中留(バックル)に強い磁気が入っていることが多いです。

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腕時計の磁気抜きを自分でする方法とかかる料金

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腕時計の磁気抜きを自分でする場合、専用の磁気抜き器が必要です。100均の商品や身の回りにあるものでは、磁気を抜くことは難しいです。

磁気抜き器の料金は、Amazonなどで1,000円台からでも発売されています。ボタンを押すだけの作業のため、自分で簡単に磁気抜きできます。

プロ用のものは1万円程度かかるため、個人で購入するには費用が高額です。私自身、時計店に勤めていますので、実際に以下の磁気抜き器を使用しています。

「どちらがおすすめか」ということですが、当然1万円のプロ用の方が性能は高いです。しかし個人でたまに使用する程度なら、1,000円程度の安価な磁気抜き器で十分だと感じます。取扱説明書のとおりに使えば、失敗することもないでしょう。

モリオ

「頻繁に磁気が入る」「時計店に行くのが面倒」と感じている方は、チェックしてみましょう!

腕時計の磁気帯びは自然には治らない

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腕時計が磁気帯びすると、自然に磁気が抜けるということはありません。専用の磁気抜き器を使用しない限り、腕時計には磁気が残ったままです。

時間合わせしても大幅に狂う場合、腕時計が磁石としての性質を持っている可能性があります。そうなると磁気抜き器だけでは対処できず、分解掃除(オーバーホール)が必要になることもあるでしょう。

腕時計の磁気抜きを自分で行う際の注意点

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腕時計の磁気抜きを自分で行う際の注意点は以下の2つです。磁気抜き器を使用する場合、コツがあるため覚えておきましょう。

  • 磁気抜き器の使い方によっては磁気帯びする
  • 磁気抜き器の当てすぎは秒針が緩むリスクがある

磁気抜き器の使い方によっては磁気帯びする

磁気抜き器の使い方を間違えると、逆に磁気帯びしてしまう可能性があります。自己流で行わず、取扱説明書に書いてある正しい方法で行います

磁気抜きで失敗しないコツは、磁気抜き器のボタンを押しているときだけ腕時計を近づけることです。そして腕時計が完全に離れてからボタンを離すことも忘れないようにしましょう。

磁気抜き器の当てすぎは秒針が緩むリスクがある

磁気抜き器を当てると、秒針がぐるぐると回ることがあります。少し回るくらいなら問題ありませんが、過剰に磁気抜きすると秒針が緩むリスクがあるでしょう。

磁気抜き器によって無理に回された秒針は、取り付け部分が緩みやすくなります。「気づいたら外れていた」といったことも起こりうるので、磁気抜き器の当てすぎには注意が必要です。

腕時計を磁気帯びから防ぐには磁気製品に近づけないこと

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腕時計を磁気帯びから防ぐには、当然ですが磁気製品に近づけないことです。磁気を発生させる製品は身の回りにたくさんあります。主に以下の製品には近づけないようにしましょう。

  • 磁気ネックレス・ブレスレット
  • スマートフォン
  • パソコン
  • カバンの留め具(マグネットタイプ)
  • 電気かみそり など

磁気製品からは、5〜10センチ程度離して置けば影響を受けにくいです。日頃から意識して磁気製品を避けることで、腕時計の精度を保つことができます。

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引用:針ズレについて|CITIZEN

まとめ:腕時計の磁気抜きをして故障を防ごう!

腕時計が磁気帯びすると時間が合わなくなるだけでなく、故障に繋がる可能性もあります。磁気帯びしたときは、市販の磁気抜き器を使用すれば簡単に対処できます。自然に磁気は抜けないため注意しましょう。

磁気帯びする原因は、スマートフォンやパソコンなどの磁気製品に近づけることです。身の回りに磁気を発生させる製品はたくさんあるので、意識して避けることが大切です。

腕時計が磁気帯びしなくなると、以前と同じように正確な時間で動くようになります。磁気製品に近づけた心当たりのある方は、きちんと取扱説明書に従ったうえで磁気抜きにチャレンジしてみましょう

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