現役時計屋が教える腕時計の文字盤の外し方!必要工具や針の取り付け方も解説

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  • 針が取れたから文字盤を外したい!
  • 文字盤を外すのに必要な工具はある?

腕時計の文字盤は、正しい知識と工具があれば自分でも外せます。しかし知識もなく力任せに行ってしまうと、文字盤や内部の機械を傷つけてしまう可能性があります

この記事を書いた人

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モリオ

  • 時計店で10年勤務
  • 毎日10本以上の腕時計に触れ、電池交換や修理に対応
  • セイコー・シチズン・カシオなど国産腕時計の知識が豊富
  • 初心者にもわかりやすく解説するのがモットー

この記事では、腕時計の文字盤の外し方や必要な工具、針の取り付け方も解説します。記事を読めば、時計店に行かずとも自分で文字盤を外せるようになります。

モリオ

文字盤を外す際の注意点も紹介しているため、腕時計を壊したくない方は参考にしてください!

目次

腕時計の文字盤を外すのに必要な工具

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腕時計の文字盤を外すのに必要な工具は以下のとおりです。

  • ピンセット
  • 裏蓋を開ける工具
  • 針押さえ器・針外し器

その他、あれば便利な道具も紹介しているため、必要に応じて参考にしてください。

ピンセット

腕時計の文字盤を外す際は、ピンセットは必須の工具です。りゅうずを抜き取ったり、針を掴んだりする際に必要なためです。

まっすぐな形をしており、先端が細いほど小さな部品を掴むのに向いています。文字盤を外すだけでなく、電池交換などの修理にも活用できるため、持っていない方は手に入れておきましょう。

裏蓋を開ける工具

針を取り付けたり、インデックス(バー)を接着したりするには、裏蓋を開けなければなりません。以下の表のように、裏蓋のタイプに適した工具が必要です。

裏蓋のタイプ必要工具
はめ込み式
snapin-type
こじ開け器裏蓋閉め器(固くて閉まらない場合)
スクリュー式
screw-type
オープナー固定台
ネジ式
machinescrew-type
精密ドライバー

現在は、2,000〜3,000円程度で工具が一式揃ったものも発売されています。工具を一つひとつ購入するのが面倒な方はチェックしてみましょう。

針押さえ器・針外し器

腕時計の針を取り付ける際や文字盤から針を外す場合に、針押さえ器・針外し器を使用します。ピンセットなどで代用できるケースもありますが、傷がつくため専用工具がおすすめです。

針外し器は、膨らんでいる部分を掴むことで力が均等に加わり、安全に針を取り外せる工具です。専用の針外し器を使うことで針の変形を防ぐことができます。

needle-remover

その他あれば便利な工具

その他あれば便利な工具は以下のとおりです。

  • デスクライト
  • エアダスター
  • ルーペ
  • 部品トレイ

デスクライト

デスクライトで手元を明るくすれば、腕時計の修理がしやすくなります。天井の照明だけでは、どうしても手元が暗くなり作業に集中できません。

邪魔にならないクリップ式のデスクライトも販売されています。置くスペースがなくても、クリップ式なら場所を取らないでしょう。

エアダスター

エアダスターは、内部の機械や文字盤についたホコリやゴミを取り除く際に使用します。圧縮した空気でゴミを払えるため、腕時計に傷をつける心配がありません

ルーペ

腕時計の針やインデックス(バー)は、小さな部品で構成されています。ルーペがあると小さな部品を正確に取り付けられます

部品トレイ

部品トレイは、これから取り付ける部品や、外した部品を保管するのに便利です。複数区切られている部品トレイがあれば、部品が混ざることなくスムーズに取り付けられます。

【写真付き】腕時計の文字盤の正しい外し方

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腕時計の文字盤を外すには、以下の4つの手順を踏みます。初心者の方にもわかりやすいよう、写真付きで紹介します。

  1. 本体からベルトを外す
  2. 裏蓋を開ける
  3. りゅうずを抜き取る
  4. 中枠を外す

①本体からベルトを外す

本体からベルトを外して、文字盤を出しやすくします。ベルトごと付け根から外しても、中留(留め金具)から外してもどちらでも大丈夫です。

革ベルトの場合、ベルトを外さなくても作業できます。

remove-belt-root
remove-belt-buckle

ベルトごと外す際は、マイナスドライバーを利用してバネ棒を縮めます。

remove-belt-root-manner

中留から外すときは、先の細いピンを穴に押し込むと、バネ棒が縮んで外せる仕組みです。ピンのない方は、爪楊枝でも代用可能です。

remove-belt-buckle-manner

ベルトが繋がっていない状態にできたら、次の工程に進みます。

②裏蓋を開ける

文字盤を外すには、裏蓋を開ける必要があります。裏蓋のタイプに合わせて準備する工具が異なるため注意しましょう。

はめ込み式のタイプは、裏蓋の隙間にこじ開け器を差し込みます。このとき、テコの原理を利用しながらこじ開け器をグイグイと押し込むと開けやすいです。

snap-type-open

スクリュー式のタイプを開けるには、オープナーと固定台と呼ばれる2つの工具が必要です。力を込めてゆっくりと左に回せば開きます。

screw-type-open

ネジ式は精密ドライバーを使用します。古い腕時計はネジが錆びている可能性があるため、徐々に力を込めながらゆっくりと開けましょう。

machinescrew-type-open

以下の記事では、裏蓋の正しい開け方について詳しく解説しています。固くて開かない場合の対処法も紹介しているため、参考にしてください。

③りゅうずを抜き取る

裏蓋を開けただけでは文字盤を外すことはできません。りゅうずが邪魔になっているため、抜き取る必要があります。

りゅうずを抜くには、「オシドリ」と呼ばれる部品を探します。オシドリは腕時計によって形や大きさが異なりますが、以下のようにりゅうず近くに配置されていることが一般的です。

oshidori

オシドリを見つけたら、先の細い工具で押し込みます。ピンセットの先端や、工具のない方はまち針でも代用できます。

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オシドリを押し込んだまま、りゅうずを引っ張ってみましょう。すると、りゅうずが抜き取れるようになります。

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④中枠を外す

りゅうずを抜くことができたら中枠を外します。中枠の役割は、内部の機械が動かないように固定することです。

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中枠を外して腕時計を裏返せば、文字盤が出てきます。これで文字盤を外す作業は完了です。

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元に戻す際は、文字盤を外す逆の作業を行います。りゅうずを戻す際は、感触を確かめるようにゆっくりと取り付けるようにしましょう。

腕時計の針を取り付ける方法

腕時計の外れてしまった針を取り付ける方法を解説します。腕時計の針は、下から短針、長針、秒針の順番で取り付けられています。順番通りでないと取り付けられないため注意しましょう。

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モリオ

このとき針が動き出さないように、電池をあらかじめ抜いておくことをおすすめします!

まずは短針から取り付けます。文字盤の中央にある突起に対して、針が並行になるように置いて、少し力を入れて押し込みます。使用する工具は以下のようなものです。

上記の工具があれば、穴があるおかげで突起や針を傷つけることなく取り付けられます。

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工具で短針を押さえつけて、軽く力を入れましょう。短針を押さえる際も、斜めにならないようにまっすぐ力を入れるのがポイントです。

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長針、秒針も同じ方法で取り付けます。押す力が強いと針と針が重なることがあるため、力を入れすぎないようにしましょう。

針を取り付ける際は、すべての針を12時合わせると正確な時間を表示させられます。取り付けた後はりゅうずを回して、針と日付が動作するか確認しましょう。

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腕時計のインデックス(バー)を接着する方法

腕時計のインデックス(バー)を接着するには、「エポキシ系接着剤」を使用します。万が一接着剤がはみ出ても大丈夫なように、色はクリアを選びましょう。

インデックスが外れた箇所を見てみると、穴が空いているケースが多いです。インデックスには2つの突起があり、この突起が穴に入っていることで取り付けられています。

穴のないタイプは、接着跡に沿って丁寧に取り付けるしかありません。

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エポキシ系接着剤の2液を混ぜて、インデックスを取り付ける準備をします。エポキシ系接着剤は混ぜた時点で固まり出すので、スピード勝負となります。

爪楊枝やまち針の先端を使って、文字盤の穴に極少量の接着剤を塗布しましょう。接着剤の量を少なくする理由は、はみ出さないようにするためです。

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あとはピンセットでインデックスの側面を掴み、接着すれば完了です。

モリオ

インデックスは小さな部品のため、肉眼での取り付けが難しいケースもあります。確実に取り付けるには、手元を拡大できるルーペがあると便利です!

腕時計の文字盤を外す際に注意すべき3つのこと

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腕時計の文字盤を外す際に注意することは、以下の3つです。腕時計を壊さないためにもチェックしておきましょう。

  • りゅうずは力任せに抜かない
  • 文字盤より裏蓋が小さいものは外せない
  • 傷をつけないために明るい場所で作業する

りゅうずは力任せに抜かない

りゅうずが抜けないからといって、力任せに行ってはいけません。りゅうずは機械と繋がっているため、無理に力を加えると歯車が破損するリスクがあります。

オシドリを押してもりゅうずが抜けなければ、押している場所が違うか、自分では外せないタイプです。部品を壊すとオーバーホールが必要になるため、作業をやめてプロに任せるようにしましょう。

文字盤より裏蓋が小さいものは外せない

ケースの構造上、文字盤より裏蓋が小さいものは基本的に外せません。その場合、正規メーカーに依頼する必要があります。

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「基本的に」とお伝えしたのは、一部ガラス方向から開けられる場合があるためです。開け口さえ分かれば自分でもできます。しかし、工具が滑ると文字盤を傷つけるリスクがあることは理解しておきましょう。

傷をつけないために明るい場所で作業する

手元が暗い状況だと、針や文字盤に傷をつけてしまう可能性があります。このとき、首を自由に曲げられるデスクライトがあると作業を進めやすいです。

特に針やインデックス(バー)の取り付けは、細かな作業のため失敗することもあります。傷をつけて後悔しないためにも、明るい環境に整えておきましょう。

まとめ:正しい知識があれば腕時計の文字盤を外すのは簡単!

正しい知識さえあれば、初心者の方でも腕時計の文字盤を外すことができます。必要な工具を揃えて手順通り行えば、腕時計を傷つけることも少ないでしょう。

腕時計の文字盤を外せるようになれば、針やインデックス(バー)の取り付けもできるようになります。時計店に行く手間が省けて、費用の節約にも繋がります。

注意点としては、力任せに修理を進めないことです。少しでも「おかしいな」と感じたら手を止めて、プロに任せる方が結果的に腕時計を守れます。

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