- 針がずれているから自分で直したい!
- 針がずれにくい使い方があれば知りたい!
腕時計の針がずれている場合、自分で修正できるケースとプロに依頼しないと直せないケースがあります。針ずれを放置すると、いざ正確な時間を知りたいときに何時かわからなくなって戸惑う可能性があるでしょう。
この記事を書いた人

モリオ
- 時計店で10年勤務
- 毎日10本以上の腕時計に触れ、電池交換や修理に対応
- セイコー・シチズン・カシオなど国産腕時計の知識が豊富
- 初心者にもわかりやすく解説するのがモットー
この記事では時計屋歴10年の私が、腕時計の針がずれる原因と直し方を解説します。記事を読めば自分で針を修正する方法を理解でき、プロに依頼しなければいけないケースを見極められます。
時間合わせしてもずれる理由や針がずれにくい使い方についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください!
腕時計の針がずれる3つの原因と直し方



腕時計の針がずれると感じる場合、以下3つのパターンがあります。それぞれの原因と直し方を解説しますので、お持ちの腕時計の状況に合わせて確認してみてください。
- ケース①単純に時間がずれている
- ケース②針が緩んで時間がずれている
- ケース③針の位置が目盛からずれている
ケース①単純に時間がずれている
単純に腕時計の時間がずれている場合、アナログ時計であればリュウズ、デジタル時計であればボタンを操作して時間を合わせます。電波時計ではないクォーツやソーラー、機械式のタイプは必ず手動で時間合わせが必要です。
電波時計でなければどのような高級時計でも時間はずれるものです。気になったときに合わせると良いでしょう。
以下では、日付つきのアナログ腕時計とG-SHOCKのデジアナ(デジタルとアナログ付き)の時間合わせについて解説します。
日付つきのアナログ時計の時間の合わせ方
アナログ腕時計の場合はリュウズを上げて時間を合わせます。日付つきのアナログ腕時計は、リュウズが2段階上がる仕組みです。



まずは秒針が12時に来るのを待ち、12時になったタイミングでリュウズを2段目まで上げます。電波時計などを見ながらそのままリュウズを回して、正しい時刻に修正します。正しい時計が「0秒」のときにリュウズを押し込めば、時間合わせは完了です。
最後に日付がずれていれば、リュウズを1段目まで上げてから回して日付を合わせます。
デジアナのG-SHOCKの時間の合わせ方



デジアナのG-SHOCKの時間を合わせる際は、針かデジタル部分のどちらを先に合わせても問題ありません。ここではデジタル部分から合わせる方法を紹介します。
デジアナの時間合わせは説明が長くなるため、必要な方だけ以下のボタンを押して確認してください。
G-SHOCKのデジアナの時間を合わせる方法はこちら
初めに左上のボタンを4秒程度押して、ピッという音がなるまで待ちます。ホーム都市という設定に進みますが、以下の画像のように「TOKYO」になっていれば左下ボタンを押して次に進みます。






そのまま左下ボタンを何度か押して、秒が点滅するまで押し続けましょう。秒が点滅しているときに右下のボタンを押すと「00」と表示されます。正しい時計を見ながら「0秒」のタイミングで右下ボタンを押してください。
秒合わせが終わったら、再度左下ボタンを押すと分針が点滅します。秒を合わせたときと同じように、右下または右上ボタンを押して合わせます。時針がずれていれば、左下ボタンを押してから同じ要領で合わせましょう。
続いて針合わせですが、最初に秒を点滅させたときのように左上ボタンを押し続けます。このときに8秒程度長めに押すようにしてください。



すると「H.SET(ハンドセット)」というマークが点滅したら針を合わせるモードになります。このG-SHOCKの場合は「サブ針」があるため、右下ボタンを短押しして「SU」に合わせます。合わせたら左下ボタンを押して時針・分針を合わせてください。






デジタル部分に「0:00」と表示されるため、右上または右下のボタンを押しながら針を「12:00」に持っていきます。合わせたら左上ボタンを押して針合わせのモードを解除します。



針が自動でデジタルの時間を合わせてくれるため、これで時刻修正は完了です。
G-SHOCKの種類は豊富にあり、時間合わせもモデルによって異なります。時間合わせが不明な方は、カシオの「Web取扱説明書」からモジュール番号を調べて確認しましょう。



ケース②針が緩んで時間がずれている
腕時計の針が緩んでいると、時間がずれていると感じます。年数が経過したことによって緩んだり、ぶつけた衝撃が原因で緩んだりします。



針が緩んでいる場合、針の取り付け修理が必要です。メーカーまたは修理店に依頼すると修理してくれます。費用はブランドや構造によっても異なります。
ケース③針の位置が目盛からずれている



秒針やストップウォッチ針が目盛りから少しだけずれている場合、故障ではない可能性が高いです。ずれが購入時からのものであれば「バックスラッシュ」と呼ばれる構造的な問題になるでしょう。
バックスラッシュとは、針を動かす歯車と歯車の間にある隙間のことです。この隙間によって針が目盛りからずれているように見えます。
引用:針ズレについて|CITIZEN
「ずれるならバックスラッシュをなくせば良いのでは?」と思われるかもしれませんが、腕時計を正常に動かす重要な役割があります。バックスラッシュがないと歯車と歯車がピッタリとくっついて摩擦が生じます。摩擦によって歯車が消耗したり、ピタッとくっつき過ぎて動くに動けなかったりする症状が出てしまうのです。



適度にバックスラッシュ(隙間)があることで、歯車をスムーズに動かしてくれます。新品なのに針が目盛りから少しだけずれている場合は、バックスラッシュの可能性が高いです。
腕時計のクロノグラフ針がずれた場合の直し方



クロノグラフとはストップウォッチ機能付きの腕時計のことです。クロノグラフの針がずれている場合、ほとんどのモデルはご自身で修正できます。
以下の手順を参考にしながら、クロノグラフ針が12時位置になるよう調整してみてください。
- 手順1.りゅうずを上げる
- 手順2.ボタンを押して針の動きを確かめる
- 手順3.針をすべて上向きに揃える
手順1.りゅうずを上げる
まずはりゅうずを上げて、クロノグラフ針を修正する準備をします。クロノグラフ針を修正する際はりゅうずを上げる必要があります。



秒針が止まったことが確認できれば、クロノグラフ針を合わせる準備は完了です。
手順2.ボタンを押して針の動きを確かめる
続いて上下のボタンを押してクロノグラフ針の動きを確かめます。クロノグラフ針を動かすには、主に以下のような修正の仕方があります。
- りゅうずを2段引きで右上ボタンを短押し
- りゅうずを2段引きで右上ボタンを長押し
- りゅうずを2段引きで右下ボタンを短押し
- りゅうずを2段引きで右下ボタンを長押し
- りゅうずを2段引きで右上・右下ボタンを両押し
- りゅうずを1段引きで上記の工程
ほとんどのモデルは2段引きした後にクロノグラフ針を合わせます。しかし、種類によっては1段引きでないと合わせられない腕時計も存在します。順番にボタンを押して確かめましょう。
今回紹介しているセイコーワイアードは、2番目の「りゅうずを2段引きして右上ボタン長押し」に該当します。



手順3.針をすべて上向きに揃える
クロノグラフ針を動かす方法がわかったら、針をすべて上向き(12時位置)に揃えます。クロノグラフ針が上向き(12時位置)にあるのが正常なため、ボタンを操作して合わせていきます。
セイコーワイアードの場合、りゅうずを2段上げて右上ボタンを長押しすることで、上の小針が動くことがわかりました。動いた小針が修正できる仕組みのため、次に右下ボタンを押して針を調整します。



右下ボタンを押して針を上向きにできたら、再度右上ボタンを長押ししてください。すると次は真ん中の長い針が動くことがわかります。同じように右下ボタンを押して12時位置に戻します。



真ん中の針を上向きにしたら、また右上ボタンを長押ししましょう。長押しすると下の小針が動くため、同じように合わせていきます。



最後にりゅうずを押し込めば、クロノグラフ針の修正は完了です。
クロノグラフ針を合わせている間に時間もずれるため、正しい時計を確認しながら時間合わせも行いましょう!
腕時計の時間を合わせても針がずれる5つの理由



腕時計の時間を合わせても針がずれる理由は以下の5つです。
- 月差・日差による誤差
- 磁気の影響を受ける
- 落とした衝撃が加わる
- 電池切れやゼンマイの巻き上げ不足
- 内部機械の故障
月差・日差による誤差
電池式(クォーツ)や機械式時計は電波時計ではないため、月差・日差によって時間がずれます。月差は電池式やソーラータイプの腕時計に使用される言葉で、1ヶ月あたりの誤差を意味しています。日差は主に機械式時計に使用される言葉で、1日にどのくらいずれが出るかということです。
一般的に電池式腕時計の月差は±20秒程度です。この範囲内であれば正常な誤差なので、故障を疑う必要はありません。
一般品のクオーツウオッチの時間精度は月差±20秒のレベルです。
一方で機械式時計は、メーカーやモデルによって大きく異なるため一概には言えませんが、1日に20〜40秒程度ずれます。機械式時計は構造的に外部環境(温度や磁気など)の影響を受けやすいため、電池式よりもずれやすいです。
電子部品を使ってより正確な時間を表示できる電池式の時計とは異なり、一般的な機械式時計は1日に20〜40秒ほどずれてしまいます。
磁気の影響を受ける
腕時計が磁気の影響を受けると、時間やクロノグラフ針がずれます。正しく針を合わせても、磁石製品に近づけると再度針がずれてしまうのです。
磁気を発生させる製品は身の回りにたくさんあります。特に以下の製品には近づけないようにしましょう。
- スマートフォン
- パソコン
- テレビ
- リモコン
- 磁気ネックレス・ブレスレット
腕時計が磁気帯びしてしまうと、「脱磁」と呼ばれる作業が必要です。専用の器具を使用するため、持っていない方はメーカーや時計店に依頼しましょう。
落とした衝撃が加わる
落とした衝撃が加わることで、針がずれることがあります。耐衝撃性が備わっていない腕時計は、少しの衝撃でも不具合が出やすいです。
高い場所で保管しないようにしたり、運動時は外したりを心がけておくと安心です。仮に落とした場合は一度針を合わせてしばらく様子を見てみましょう。
電池切れやゼンマイの巻き上げ不足
電池式は電池切れ、機械式時計はゼンマイの巻き上げ不足の可能性もあります。電池残量が少なくなっていたり、きちんとゼンマイが巻き上げられてなかったりする場合、時間がずれることが多いです。
電池交換しても調子が悪いのか、ゼンマイを巻き上げても極端にずれるのか確認しましょう。
内部機械の故障
特に年数の経過した腕時計は内部の部品が消耗していたり、油が劣化していたりなどで故障している可能性が高いです。何度合わせても針がずれる場合、修理を検討する必要があります。
直すには分解掃除(オーバーホール)しなければなりません。費用はメーカーによって異なります。国産メーカーであれば比較的安価ですが、海外メーカーになると高額な修理費用になることも多いです。
腕時計の針がずれにくくなる3つの使い方



腕時計の針がずれにくくなる使い方は以下のとおりです。実践すれば腕時計の寿命を延ばすことにも繋がります。
- 磁気帯びする製品には近づけない
- 衝撃が加わらないよう気をつける
- 定期的にメンテナンスを依頼する
磁気帯びする製品には近づけない
前述したとおり、腕時計は磁気が発生する製品には弱いので近づけないようにしましょう。針がずれるだけでなく、内部機械が磁気帯びすると修理が必要になるケースもあります。
特に多いのがカバンやズボンのポケットの中でスマートフォンと一緒になっているということです。耐磁性能が備わっている腕時計もありますが、5cm以上は離して使用することがオススメです。
衝撃が加わらないよう気をつける
G-SHOCKほどの耐衝撃性がない場合、衝撃には十分気をつけましょう。特に機械式時計は細かな部品が大量に使用されているため、丁寧に扱うことが求められます。
普段使用するときに気をつけるのはもちろん、使用しないときは可能であれば専用BOXに収納しておくことが望ましいです。購入時に付属されているBOXでも構いません。しかし持っていない場合は、1,000円程度で購入できる持ち運びに便利な携帯ケースもあるのでチェックしてみましょう。
定期的にメンテナンスを依頼する
内部機械の油や部品が劣化することによって、精度が落ちて針がずれやすくなります。定期的にメンテナンスを依頼することは、安定した精度を保つために欠かせません。
劣化した状態で使い続けると修理箇所が増えて、費用が高額になる可能性があります。定期的にメンテナンスしておけば、最低限の費用で故障を未然に防ぐことができます。
まとめ:腕時計の針ずれの原因を見極めよう!
腕時計の針がずれる原因は以下3つのパターンがあります。
- ケース①単純に時間がずれている
- ケース②針が緩んで時間がずれている
- ケース③針の位置が目盛からずれている
単純に時間がずれているのであれば自分で簡単に修正できます。しかし針が緩んでいる場合、メーカーや修理店での修理が必要です。購入時から針の位置が少しだけ目盛りからずれているのは、針を正常に動かすための構造上の問題であることが多いです。
針をずれにくくするためには、磁石製品に近づけないことや、落として衝撃を加えないようにしましょう。日頃から使用方法や保管場所に気をつけて、針をずれさせないことが寿命を延ばすコツです。





